「会社を辞める」決断の前に、将来の可能性を広げる方法とは?【角田陽一郎×加藤昌治】
あんちょこ通信 第7回
■社内散歩、あるいはコミュニティの復権
角田:僕はどちらかというと「プラプラする」ことが苦手で、速く歩いていっちゃう感じする。
加藤:そういう意味で言うと、「プラプラする大義名分」が欲しいじゃない?何があるかな。
角田:僕の場合、メディアビジネスに行ったのは社内ベンチャーを募集してたからだったな。
加藤:そういう意味では、別に大義名分としてされていたわけじゃないと思うけど、やたらお土産を配ってる人がいるんだよ。仕事ではあまり関わりがない人にも「お裾分けです」って配る人が。
でも、食べ物をもらって「関係ないんでいりません」って言う人はいないから、社内散歩のお供としてのお土産ってのは、あるかもね。
角田:僕はそういうことをするのが苦手なほうだけど、できる人間にならないといけないって、3.11の時に思ったんだ。
加藤:それはなぜ?
角田:いつ地震がくるか分からない、という時に、「隣の人に醤油を借りれる」ぐらいの人間関係を復活させておかないといけないなって。
そういう意味では、職場の他部署の人とも、醤油を借りれるぐらいの関係を築いたほうがいいんだろうね。
加藤:そこでいきなり借りにいくのは難しいから、その手前でお土産を配る。
角田:「カボチャできたんで」って言ってお裾分けする。
加藤:よく知ってる人には手土産ってあまり持っていかないけれど、これから関係を作りたい人には手土産を持っていくでしょう?だから、手土産を持って社内をプラプラ散歩してみるといいんじゃないかな。
角田:そういうのがどんどんない社会になっていってるでしょう。会社もそうだよね。
加藤:ちょっと話は飛ぶけど、「コミュニティ」というものの考え方って、「醤油を借りる」というのも隣の人に借りにいくわけだから、距離で決められてるよね。
角田: 1キロ先には借りにいかないもんね。
加藤:だけど「社内散歩」みたいなことで言うなら、隣の部署だけでなくて、違うフロアに行ってもいいし、なんなら違うビルに行ってもいい。物理的な距離を超えてコミュニティを作ることができるはずだと思うな。
角田:昔は「なんで人事異動なんてするんだろう?制作にこれだけ向いてる人が営業に行ったってしょうがないじゃん」みたいに思ってたんだけど、今になって考えると、そういうものがあったほうが、きっと結果として「醤油を借りやすい組織」になるんだろうね。だから経営者は人事異動をするんだなって、今はなんか分かるな。
加藤:いわゆる「単線キャリア」、それしかやったことがない人ってなかなか辛いとも言うよね。
角田:僕も本当に番組しか作ってなかったけど、goomoでだいぶ変わったよ。それがなかったら今みたいに生きていなかったと思う。番組作りだけ面白く続けることはできたと思うけれど、極論すれば、お金をどうやって持ってきたらいいかを当時は分からなかったもの。
加藤:無駄になることはないってことだけど、話を戻すと、それを受け身で待ってるんじゃなくて、おせんべいを持って、散歩しにいきましょう。
(構成:甲斐荘秀生)
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